副院長町田奈美のコラムが日本歯科評論に掲載されました。
平成24年の厚生労働省の調査では、歯科医師全体の2割、約2万1千人が女性であり、年代別の割合では50歳代158%、40歳代220%、30歳代33.1%20歳代42.1%となっている。
今後、女性歯科医師数の増加とともに在宅歯科診療に従事する女性歯科医師の数もさらに増えると予測されるが、女性が活躍する在宅歯科診療とはどういうものだろうか。
われわれは患者の口腔内を診るだけでなく、患者自身を診ている。
口腔内が汚れている患者に「しっかり口腔ケアをしてください」と指示するのは簡単であるが、実は介護者がさまざまな理由で口腔ケアまで手が回っていないということも多い。
口腔内環競だけでなく、その背後にある患者の生活環境を知れば、おのずとアドバイスする内容も変わってくる。
特に在宅歯科診療では、外来患者よりも複雑な生活環境を持つ患者が多い傾向にあるようだ。
一般論ではあるが、女性は出産、育児、家事、介護などの経験を持つ人が多く、在宅で療養している患者の生活環境も理解しやすい傾向にあると思う。
生活者の視点で状況を把握すると、その患者に合ったアドバイスができ、患者や家族もそのアドバイスを受け入れやすい。
また、女性はこのような経験から、他者に寄り添いながらケアする力なども身に付きやすいと思われる。
そのような能力が患者に「優しさ」「親しみやすさ」と映り、さまざまなことを相談しやすい、という一面があるのかもしれない。
患者の表情や雰囲気を読み取り、「体調はどう?」
「ご飯は食べている?」「ちやんと眠れてる?」といつた日常会話から、患者本人や家族の様子がみえてくることがよくある。
このように経験的に女性が得意とする視点を活かし、患者から「この歯科医師に話してみよう」と思われる診察を普段から心がけることで、在宅歯科診療でも女性歯科医師が大活躍する時代がやってくるのではないだろうか。
日本歯科評論(通刊第864号)43